脳梗塞の患者を診るとき、「どの血管が障害されたか」を考えることは、診断と治療方針の決定に直結します。CT/MRIで病変を確認する前であっても、神経症候から責任血管領域を推定する習慣は、臨床推論の基本です。
しかし、脳血管支配領域を体系的に学ぶ機会は意外と少なく、現場に入って初めて「きちんと整理しておけばよかった」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回はRadiopediaのイラストを引用しながら、主要な脳血管支配領域を整理します。次回は実際の脳梗塞画像を用いて、血管支配領域と症候の対応を解説する予定です。
脳血管支配領域
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Case courtesy of Frank Gaillard, Radiopaedia.org. From the case rID: 10814
内側/外側レンズ核線条体動脈(Medial/Lateral lenticulostriate arteries)
ここは用語の整理が必要なところです。
レンズ核(被殻+淡蒼球)と線条体(被殻+尾状核)の血管支配の分類について、異なる見解があります。
レンズ核線条体動脈は、ウィリス動脈輪前部およびその周辺から発生し、基底核に血液を供給する小さな穿通動脈の集合体で、内側/外側レンズ核線条体動脈に分類されます。
文献では、内側と外側の使用に関して混乱が見られます。ほとんどの文献では、内側動脈は前大脳動脈のA1分節から発生し、外側動脈は中大脳動脈のM1分節から発生すると説明されています。
しかし、一部の著者は、中大脳動脈のM1分節から発生する穿通動脈をさらに内側(近位から発生するもの)と外側(遠位から発生するもの)のグループに分けています。
起始動脈による分類には混乱があるため、Radiopediaでは支配領域で分類する方がよりシンプルだとしています。
【主流の分類】
Willis動脈輪前部からの穿通動脈
├── Medial lenticulostriate arteries(内側レンズ核線条体動脈)
│ ├── 起始:ACA A1
│ └── 支配:淡蒼球・被殻内側部
│
└── Lateral lenticulostriate arteries(外側レンズ核線条体動脈)
├── 起始:MCA M1(まれにM2)
└── 支配:被殻外側部・外包・内包上部
↓ 別系統
Heubner動脈(Heubner反回動脈)
├── 起始:ACA A1/A2移行部
└── 支配:内包前脚・尾状核頭部下部・内包前下部
ACA:前大脳動脈
MCA:中大脳動脈
【Osbornらの分類】
MCA M1からの穿通動脈
├── Medial group(内側群)← M1近位部から分岐
└── Lateral group(外側群)← M1遠位部から分岐
※この分類では「内側」の定義がACA起始ではなくM1近位を指す
混乱の核心
| 論点 | 主流の見解 | Osbornらの見解 |
|---|---|---|
| 内側群の起始 | ACA A1 | MCA M1近位部 |
| 外側群の起始 | MCA M1 | MCA M1遠位部 |
| ACA穿通枝の扱い | 内側群に含める | 別扱い |
Radiopediaの推奨する考え方
起始動脈よりも支配領域で分類する方がシンプル
【引用元】
Case courtesy of Frank Gaillard, Radiopaedia.org. From the case rID: 10814
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