【画像解説】くも膜下出血のCT診断

頭部

25歳女性、症状は急性発症の頭痛です。

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Case courtesy of Craig Hacking, Radiopaedia.org. From the case rID: 151794

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発症時のCT:

CT slice
SAH CT
WW: 80 / WL: 40
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画像所見:

基底槽(鞍上槽の右側、脚間槽、右迂回槽、四丘体槽、右シルビウス谷、)に高吸収を認め、くも膜下出血の所見です。右小脳テント沿いから橋前槽の右側、延髄背側に高吸収が広がり、出血の進展と考えられます。

右側脳室後角にも高吸収を認め、脳室内出血の所見です(修正フィッシャースケール Grade 4になります)。

正中偏位や脳ヘルニアは見られません。両側側脳室下角の拡大を認め、初期の水頭症の兆候があります。

図1:延髄レベルのくも膜下腔

図2:側頭葉の脳溝に沿った淡い高吸収を認めます。左右差に注目。

図3:右シルビウス裂に高吸収を認めます。図2と同様に左右差が重要です。基底槽に出血がなくても、これを見たらくも膜下出血と診断できるようになりましょう。

図4:右シルビウス裂と右側脳室後角に高吸収を認めます。くも膜下腔から脳室内への血液の流入が疑われます。

図5:基底槽(Basal Cisterns)に含まれる主な範囲

① 鞍上槽 (Suprasellar cistern): 視交叉やウィリス動脈輪の前方部(Acomなど)が含まれる中心部。

② 脚間槽 (Interpeduncular cistern): 中脳の「脚」の間にあり、動眼神経などが通る場所。

③ 四丘体槽 (Quadrigeminal cistern): 中脳の後方。

④ 迂回槽 (Ambient cistern): 中脳の外側を取り囲むように、前方と後方を結ぶ通路。

⑤ シルビウス槽 (Sylvian cistern): 中大脳動脈(MCA)の起始部がある広いスペース。

その他:

⑥ 終板槽(Cistern of lamina terminalis):鞍上槽のすぐ前上方。

⑦ 橋前槽(Prepontine cistern):橋の腹側のスペース。

⑧ 延髄前槽(Premedullary cistern):延髄の腹側のスペース。

発症時のCTA MIP:

CT slice
SAH CTA
WW: 80 / WL: 40
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CT slice
SAH CTA MIP pre vasospasm
WW: 80 / WL: 40
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画像所見:複数の動脈瘤を認めます。

  • 右内頚動脈ー後交通動脈分岐部: 大きさが 4 x 3mm で、形に不整があり、後方へ突出している。
  • 右内頚動脈ー視神経近傍部: 大きさが 3 x 3mm で、内側へ突出している。
  • 左内頚動脈ー眼動脈分岐部: 大きさが 3 x 2mm で、前内側へ突出している。
  • 左内頚動脈ー前脈絡叢動脈分岐部: 大きさが 3 x 2mm で、後外側へ突出している。

脳血管造影により、破裂した動脈瘤は右後交通動脈瘤であり、血管内治療は不可能であることが確認された。患者は1日目に脳室ドレナージ挿入術と開頭術を受け、動脈瘤クリッピング術による治療が行われた。 

10日目には、患者のGCSスコアが低下し、髄膜刺激症状がみられた。

CTA 10日目:

CT slice
SAH CTA MIP post vasospasm
WW: 80 / WL: 40
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画像所見:

右開頭術および右後交通動脈瘤クリッピング術後の状態。右前頭部脳室ドレナージチューブの除去。側頭角の軽度拡張は、初期または進行性水頭症を示唆する。

脳底動脈、両側椎骨動脈、前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈、内大脳動脈の海綿静脈洞部および交通動脈部に中等度の血管攣縮が認められる。後交通動脈瘤クリップの位置は変化しておらず、動脈瘤再発の明確な兆候はない。

→血管攣縮は、ベラパミルとミルラノンの動脈内投与を連続的に行うことで効果的に治療された。 


くも膜下出血の修正 Fisher Scale

Claassenらによる修正フィッシャースケール(Modified Fisher Scale)では、以下の4段階のグレードで血管攣縮リスクを評価します。

グレードくも膜下出血(SAH)の状態脳室内出血(IVH)有症状の血管攣縮の発生率(目安)
Grade 0なし(または極めて微量)なし0%
Grade 1局所的またはびまん性の「薄い」SAHなし24%
Grade 2局所的またはびまん性の「薄い」SAHあり33%
Grade 3「厚い」SAH(塊状の出血)なし33%
Grade 4「厚い」SAH(塊状の出血)あり40%

1. 用語の定義と補足

  • Thin SAH(薄いSAH): 脳溝や脳底槽に血液は認められるが、その厚みが1mm未満のもの。
  • Thick SAH(厚いSAH): 脳溝や脳底槽が血液で充填され、その厚みが1mm以上のもの。
  • IVH(Intraventricular Hemorrhage): 脳室内出血(脳室穿破)のこと。量にかかわらず、脳室内に少しでも血液が認められれば「あり」と判定します。

2. オリジナル(Fisher版)との主な違い

オリジナルのフィッシャースケールと比較して、以下の点が実務的に整理されています。

  1. 脳室出血の扱い: オリジナルでは「脳室出血があれば一律Grade 4」でしたが、修正版では「厚いSAH + 脳室出血」が最大のリスク(Grade 4)として定義されました。
  2. リスクの段階的上昇: オリジナルで見られた「Grade 3の方がGrade 4よりリスクが高い」という逆転現象が解消され、数字が上がるほど血管攣縮のリスクも高くなるように設計されています。

GCS(Glasgow Coma Scale:グラスゴー・コーマ・スケール)

意識障害の分類で、現在世界的に広く使用される評価分類スケール。

1. 表記方法

合計点数だけでなく「E4V5M6(合計15点)」のように各項目を並べて表記します。これにより、「どこが悪いのか」が具体的に伝わります。

2. 重症度の目安

  • 15点: 意識清明
  • 13〜14点: 軽度意識障害
  • 9〜12点: 中等度意識障害
  • 8点以下: 重症(昏睡)。一般的に「挿管(気道確保)」を検討する基準の一つとされます。
  • GCSが短時間で2点以上低下:急変サインとして即時対応
評価項目点数評価内容(反応の状態)
開眼 (E)
Eye Opening
4自発的に開眼している
3呼びかけにより開眼する
2痛み刺激により開眼する
1痛み刺激でも開眼しない
言語反応 (V)
Verbal Response
5見当識が保たれている(時・場所・人がわかる)
4会話は成立するが、混乱している
3不適切な単語(発語はあるが支離滅裂)
2理解不能な声(意味をなさない声、うなり声)
1発語なし
運動反応 (M)
Motor Response
6指示に従って手足を動かせる
5痛み刺激に対して、その場所を払いのける(逃避)
4痛み刺激に対して、手足を引き込める(屈曲撤退)
3痛み刺激に対して、異常な屈曲反応(除皮質硬直)
2痛み刺激に対して、伸展反応(除脳硬直)
1全く動かさない

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