20歳男性。喘息重積発作による院外心停止。瞳孔散大。低血圧および徐脈
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Case courtesy of Craig Hacking, Radiopaedia.org. From the case rID: 75922
Case courtesy of Kevan English, Radiopaedia.org. From the case rID: 180188
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CT画像所見
びまん性の脳浮腫を認め、著明な mass effect により、びまん性の脳溝消失および脳槽のほぼ完全な消失を来しています。脳室系の部分的な消失を認めます。水頭症は認めません。
小脳扁桃が大後頭孔レベルより最大9mm下垂しており、ヘルニアの所見です。
中脳周囲槽(脚間槽、橋槽、迂回槽、四畳体槽)の消失、中脳の変形、鞍上槽の消失があり、橋腹側部が斜台に押し付けられており、中心性脳ヘルニアを疑う所見です。両側側頭葉の内縁が小脳テントのラインを越えており、鉤ヘルニアも同時に疑われます。
大脳半球の皮質と白質の境界が広範囲に不明瞭化しています。相対的にくも膜下腔は高吸収になっています(偽くも膜下出血)。また、小脳も相対的に高吸収になっています。
両側の上眼静脈は拡張しており、視神経鞘の遠位部も同様に拡張しています。
頭蓋内に出血や液体貯留は認めません。
急性頭蓋骨骨折や表在性貯留液は認めません。
結論
- びまん性低酸素性虚血性脳障害によるびまん性脳浮腫
- 小脳扁桃ヘルニア
- 中心性脳ヘルニア・両側鉤ヘルニア疑い



症例考察
本患者は4日後にICUにて死亡した。 小脳扁桃ヘルニアは一般的に、死の直前に起こる事象(pre-terminal event)である。
重要所見の補足:
- Reversal sign(反転徴候):灰白質が低吸収・白質が相対的高吸収となり、通常の濃度関係が逆転する所見
- White cerebellum sign:大脳がびまん性に低吸収となることで、小脳・脳幹が相対的に白く見える所見
- 偽くも膜下出血:実際の出血ではなく、脳浮腫による脳実質の低吸収化により、正常なくも膜下腔が相対的に高吸収に見える現象
- 小脳扁桃ヘルニア:大後頭孔ヘルニアを示し、脳幹圧迫による生命維持機能への重大な脅威を意味する
- 上眼静脈と視神経鞘の拡張:この所見はベッドサイドでの眼球超音波検査でも評価可能であり、非侵襲的な頭蓋内圧亢進の指標として臨床的に用いられている
Reversal sign と White cerebellum sign は、どちらも重度の損傷と神経学的予後不良を示しています。
中心性ヘルニア
中心性ヘルニアは、間脳および中脳の下降を伴う、下行性テント切痕ヘルニアの一亜型です。通常、鉤ヘルニアなどの他の下行性ヘルニアを合併します。
臨床症状:
中心性ヘルニアの臨床症候群は、脳幹機能不全に起因する神経脱落症状が、典型的には吻側から尾側へと進行するのが特徴です。
- 第III脳神経(動眼神経)麻痺
- 意識レベルの低下
- 除脳硬直または除皮質硬直
- 強直または麻痺
- 異常呼吸パターン
- 最終的には死に至る
CT/MRI所見:
- 中脳周囲槽の消失(最も一般的な所見)
- 間脳の下降(テント切痕を通る尾側への偏位)、通常は両側の側頭葉ヘルニア(鉤ヘルニア)を伴う。
- 中脳の長方形変形
- 四丘体板の下降
- 脳底動脈の下降
- 橋腹側部が斜台に押し付けられて平坦化する
中心性ヘルニアの合併症:
- 脳底動脈穿通枝の断裂によるデュレ出血
- 後大脳動脈領域の梗塞
- 中脳水道の閉塞による水頭症
読影上のポイント:
脳全体が腫大している状況では、個別の「鉤」の形を同定するのは難しいですが、「中脳周囲のスペースが全周性に消えている」という事実は、間脳が落ち(中心性ヘルニア)、かつ両側の側頭葉が入り込んでいる(側頭葉ヘルニア)ことを裏付ける所見となります。
したがって、レポートには「両側鉤ヘルニアおよび中心性ヘルニアを呈している」あるいは「高度な下行性テント切痕ヘルニアを認める」と記載するのが、最も正確な表現と言えます。
視神経鞘について
視神経鞘は、脳脊髄液圧の変化に応じて直径が変化する。これは、 視神経と視神経鞘の間にくも膜下腔が存在しており、頭蓋内圧の上昇によってくも膜下腔が拡大するためである。これらの変化は、視神経の前方部分でより顕著に認められる。
視神経鞘の直径の測定は、眼球後縁から3mmのところで行われることが多いが、普遍的に受け入れられているものではない。
正常上限値として、内縁から内縁までを測定した以下のカットオフ値が用いられている(これは出版物により異なりますが…):
- 1歳以下の子供では最大4mmまで
- 1歳から15歳までの子供では最大4.5mm
- 15歳以上の子供では最大5mmまで
- 成人では最大5mm
- 5 mmを超える測定値(両側)は、頭蓋内圧が20 mmHgを超える上昇に対応する。
画像:
Case courtesy of Craig Hacking, Radiopaedia.org. From the case rID: 75922
Case courtesy of Kevan English, Radiopaedia.org. From the case rID: 180188
中心性ヘルニア:
Central herniation, Radiopaedia.org (Licensed under CC BY-NC-SA 3.0)
視神経鞘径:
Optic nerve sheath diameter, Radiopaedia.org (Licensed under CC BY-NC-SA 3.0)
記事で、「鉤状回ヘルニア」と記載していましたが、正しくは「鉤ヘルニア」でした。訂正してお詫びいたします。


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