【CT解説】大網裂孔ヘルニアによる小腸閉塞

腹部

症例:55歳 女性。右腸骨窩の痛み。虫垂炎の可能性?

CT slice
axial
WW: 80 / WL: 40
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画像所見

右下腹部の遠位小腸の腸間膜に脂肪織濃度上昇を認め、栄養血管は一点(絞扼点)に向かって収束しています。これより口側の小腸は軽度拡張しており、絞扼点で閉塞しています。肛門側の小腸(回腸)は虚脱しています。絞扼点の左側には大網の血管が頭尾側方向に走行しています。大網裂孔ヘルニアが疑われる所見です。

絞扼腸管には壁肥厚や壁内ガスは見られず、積極的に腸管壊死を疑う所見は見られません。

癒着や捻転を疑うような腸管・腸間膜の牽引、ねじれ(whirl sign)は見られません。

腹水を認めます。


  • 右下腹部の小腸腸間膜の脂肪織濃度上昇
  • 栄養血管は絞扼点に向かって収束

絞扼部の肛門側では、小腸は虚脱しています。

絞扼部より口側の小腸は拡張しています。

絞扼点の左側には大網があります。

症例検討

手術にて大網裂孔ヘルニアが原因と判明した。腸管の虚血は認められず、患者は腸切除を必要とせず、順調に回復した。  

Case courtesy of Andrew Dixon, Radiopaedia.org. From the case rID: 35593


大網裂孔ヘルニア

大網裂孔ヘルニアは内ヘルニアのひとつで、先天性や外傷による裂孔の形成、加齢に伴う結合組織の萎縮、急激なるい痩、ステロイド服用などが原因と考えられています。

腸管の嵌入様式により、5型に分類する山口の分類が用いられています(図)。

A型:腹腔→大網→腹腔

B型:腹腔→網嚢→腹腔

C0型:腹腔→網嚢→網嚢内

C1型:腹腔→網嚢→Winslow孔→腹腔

C2型:腹腔→網嚢→小網→腹腔

(画像は、 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/69/3/69_3_687/_pdf より改変)

CTでは、内ヘルニアの所見に加えて、ヘルニア門の近傍に大網(胃大網静脈)があれば診断できます。本症例では、絞扼腸管は腹腔内に存在しており網嚢とは離れているので、A型と考えられます。


参考記事:

症例6:症例解説
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/69/3/69_3_687/_pdf

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Case courtesy of Andrew Dixon, Radiopaedia.org. From the case rID: 35593

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🔗 症例-rID: 35593

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