転移と間違えやすい肝臓の多発性結節性脂肪浸潤の画像と脂肪肝の解説

腹部

症例:50歳。心不全の既往があり、嘔吐と黄疸を呈している。血清検査では、ビリルビン13mg/dL、アルカリホスファターゼ250IU/L、AST/ALT 200台IU/Lであった。

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画像所見

超音波

肝実質は不均一で、右腎に比べて著しく高エコーを示しており、脂肪肝を示唆している。胆嚢後方、尾状葉付近に、境界不明瞭な肝腫瘤(約6.6cm)が認められる。

CT

びまん性の斑状低吸収域が結節状に認められる。尾状葉は突出し​​ており、腫瘤状の低吸収域によって拡大しているように見える。肝血管は低吸収域内を走行している。

肝臓表面は前面は滑らかであるが、下面(例えば胆嚢窩)には結節状の隆起が見られる。肝臓全体のサイズは軽度腫大している。

肝生検

ランダム肝生検、右葉

顕微鏡的所見

中等度の大滴性巨細胞性脂肪変性が肝細胞の約50%に認められる(スコア2)。マロリー・デンク小体を伴う顕著な風船様変性(スコア2)と小葉内炎症(20倍視野あたり4病巣以上、スコア3)があり、衛星状変性も認められる。トリクローム染色では、著明な細胞周囲線維化と広範な架橋線維化(ステージ3)が強調される。局所的に1~2+の網内系鉄沈着が認められる(鉄染色)。肝細胞にはジアスターゼ抵抗性細胞質内封入体は認められない(PASD染色)。両ブロックのレチクリン染色により、肝細胞癌は否定される。顕著な好中球性の小葉内炎症、サテライトーシス、および明らかなマロリー・デンク小体を伴う組織学的特徴は、アルコール性脂肪肝疾患を示唆する。

印象

脂肪性肝炎、NASスコア7/8、線維化ステージ3(NASH-CRNシステム)

Random liver biopsy, right lobe

Microscopic description

Moderate large droplet macrovesicular steatosis, involving approximately 50% of hepatocytes (score 2). There is prominent ballooning degeneration with Mallory Denk bodies (score 2) and lobular inflammation (>4 foci/ 20x field; score 3), with satellitosis. Trichrome stain highlights marked pericellular fibrosis, with extensive bridging fibrosis (stage 3). There is focal 1-2+ reticuloendothelial iron deposition (iron stain). There are no diastase resistant cytoplasmic globules in hepatocytes (PASD stain). Reticulin stains on both blocks confirm absence of hepatocellular carcinoma. With prominent neutrophilic lobular inflammation, satellitosis and conspicuous Mallory Denk bodies, histologic features suggest alcoholic fatty liver disease.

Impression

Steatohepatitis, NAS score 7 of 8, fibrosis stage 3 (NASH-CRN system)

肝臓、「尾状葉病変」

顕微鏡的所見

肝生検の切片では、構造の変化が認められる。H&E染色では架橋線維化があり、かすかな結節形成を伴う。肝実質の約50〜60%に及ぶ中等度の巨細胞性・大滴性脂肪変性(グレード2)が認められる。風船様変性が顕著であり(グレード2)、形成不全のマロリー・デンク小体が多数認められる。サテライトーシスが認められる。好酸性小体も認められる。小葉内炎症がびまん性に認められ(重度、グレード3)、好中球、好酸球、リンパ組織球の混合浸潤から構成される。毛細胆管性胆汁うっ滞が認められる。A1切片に特殊染色を施す。トリクローム染色では、架橋線維化および限局性結節形成を伴う複雑な類洞周囲線維化が強調される。ジアスターゼ処理を施したPAS染色では、小葉内炎症部位におけるマクロファージの増加が認められるが、肝細胞におけるジアスターゼ抵抗性α1-アンチトリプシン封入体は陰性である。鉄染色では肝細胞内鉄蓄積は認められないが、散在性のまれな網内系鉄沈着が認められる。レチクリン染色は、技術的な問題(染色不良など)のため評価不能である。

印象

  • 脂肪性肝炎(NASスコア7/8)および急性胆汁うっ滞
  • 局所的な結節形成を伴う、複雑な類洞周囲および架橋線維化(ステージ3~4)
  • 腫瘍は確認されませんでした

Liver, “caudate lesion”

Microscopic description

Sections of the liver biopsy show altered architecture. There is bridging fibrosis, evident on H&E stain, with vague nodularity. There is moderate macrovesicular, large droplet steatosis, involving approximately 50 to 60% of the liver parenchyma (grade 2). Ballooning hepatocytes is prominent (grade 2), with abundant poorly-formed Mallory-Denk bodies. Satellitosis is seen. Acidophil bodies are also noted. Lobular inflammation is diffusely present (severe, grade 3), composed of a mixed infiltrate of neutrophils, eosinophils, as well as lymphohistiocytic infiltrate. Canalicular cholestasis is present. Special stains are performed on section A1. Trichrome stain highlights complex perisinusoidal fibrosis with bridging fibrosis and focal nodule formation. The PAS stain with diastase highlights increased macrophages in the areas of lobular inflammation, but is negative for diastase resistant alpha-1 antitrypsin globules and hepatocytes. The iron stain is negative for hepatocellular iron accumulation, but highlights scattered, rare reticuloendothelial iron accumulation. The reticulin stain is not informative due to technical problems.

Impression

  • Steatohepatitis (NAS score 7/8) and acute cholestasis
  • Complex perisinusoidal and bridging fibrosis with focal nodule formation (Stage 3-4)
  • No tumour identified

症例考察 (Case Discussion)

この症例は、結節性脂肪沈着がいかに紛らわしいかを示す典型例である。 超音波における「びまん性の高エコー」「粗いエコー像」「不均一な実質像」は脂肪沈着を示唆している。CTにおける「肉眼的に脂肪と同程度の濃度を示す斑状の肝低吸収域」もまた、高度な脂肪沈着を示唆している。肝臓の血管が、脂肪沈着の領域を通過する際にも(腫瘍に押しつぶされることなく)型通りに温存されている点に注目してほしい。さらに、肝下縁に沿ったかすかな結節病変は、ある程度の肝線維化を示唆している。 尾状葉は、超音波とCTの両方で独立した腫瘤に見えるため注目を集めたが、振り返ってみれば、隣接する脂肪肝と同様の特徴を有していた。患者は当初、肝疾患全体を評価するためにランダム肝生検を受け、さらなる議論の後、悪性腫瘍を除外するために尾状葉領域の生検を受けることになった。

This case exemplifies how tricky nodular steatosis can be.

Ultrasound findings of diffuse diffusely increased echogenicity, coarse echotexture, and heterogeneous parenchyma suggest steatosis. CT findings of patchy liver hypoattenuation which approaches the density of macroscopic fat also suggest profound steatosis; note how the hepatic vessels are stereotypically preserved as they course through the regions steatosis. In addition, faint nodularity along the liver undersurface hints at a degree of hepatic fibrosis

The caudate lobe drew attention on both ultrasound and CT because it resembles a discrete mass, although in retrospect shares similar characteristics with adjacent steatotic liver. Patient initially underwent random liver biopsy to asses overall liver disease, and after further discussion went for biopsy of the caudate region to exclude malignancy. 

Case courtesy of Brian Gilcrease-Garcia, Radiopaedia.org. From the case rID: 64951


専門用語の解説

病理レポートに出てくる重要な用語を、分かりやすく解説します。

① 脂肪の程度を表す言葉
  • Macrovesicular, large droplet steatosis(大滴性巨細胞性脂肪変性)
    • 肝細胞の中に、大きな脂肪の「泡(滴)」が1個どんと居座り、細胞核を端っこに押し追いやっている状態です。一般的な肥満やアルコールによる脂肪肝の典型的な像です。
  • Score 2 / Grade 2
    • 脂肪肝の重症度分類(NASスコアなど)で、全肝細胞の「34〜66%」に脂肪が溜まっている中等度の状態を指します。
脂肪化:肝細胞の大滴性脂肪変性

② 脂肪肝炎(細胞のダメージ)を表す言葉
  • Ballooning degeneration(風船様変性 / バルーニング)
    • 脂肪が溜まるだけでなく、細胞が限界を迎えて水ぶくれのようにプクッと丸く大きく腫れ上がった状態。
  • Mallory-Denk bodies(マロリー・デンク体)
    • 肝細胞内に見られる異常なタンパク質の塊で、これらのタンパク質の塊は、肝細胞が損傷し、特定の構造タンパク質を正常に処理または除去できなくなると形成されます(こちら)。
  • Satellitosis(サテライトーシス / 衛星現象)
    • 死にかけた(あるいは風船様変性を起こした)肝細胞の周りを、白血球(特に好中球)が「まるで衛星のようにぐるりと取り囲んで攻撃・掃除している」状態です。強い炎症が起きている証拠です。
  • Acidophil bodies(好酸性体 / アポトーシス小体)
    • 炎症のストレスによって、肝細胞が「自殺(アポトーシス)」して縮んで固まった死骸のことです。
③ 炎症と線維化(進行度)を表す言葉
  • Lobular inflammation(小葉内炎症)
    • 肝臓の構造の単位である「小葉」の中で、白血球(好中球やリンパ球)が集まって炎症を起こしている状態。
  • Pericellular / Perisinusoidal fibrosis(細胞周囲 / 類洞周囲線維化)
    • 脂肪肝炎に特有の線維化のパターンです。肝細胞の周りや、微細な血管(類洞)の隙間に、網の目のように細かく線維が張り巡らされる現象で、顕微鏡で見ると「鶏小屋の金網(chicken-wire)」のように見えます。
  • Bridging fibrosis(架橋線維化)
    • 線維化が進行し、点と点だった線維のエリア同士がつながって「橋(ブリッジ)」を形成した状態。
  • Stage 3 – 4(ステージ3〜4)
    • 線維化の進行度。ステージ3は「架橋線維化(かなり進んだ状態)」、ステージ4は「肝硬変(完成された状態)」を意味します。この症例は3〜4の境界にあり、肝硬変に足を踏み入れつつある状態です。
  • NAS score 7 of 8(NASスコア 7/8)
    • 脂肪肝炎の活動度を表す世界基準(NAFLD Activity Score)。「脂肪化(0-3)」「小葉内炎症(0-3)」「バルーニング(0-2)」の合計8点満点で計算します。「7点」は非常に活動性が高い(激しい脂肪肝炎である)ことを意味します。

histological scoring system for nonalcoholic fatty liver disease

④ がんの否定・その他の除外のための特殊染色
  • Reticulin stain(レチクリン染色)
    • 肝細胞を支える細い「網繊維」を黒く染める染色です。正常な肝臓や良性の病変ではこの網目がきれいに維持されますが、肝細胞がん(HCC)になるとこの網目構造が破壊されて消失します。レポートで「absence of hepatocellular carcinoma(肝細胞がんの不在を裏付けた)」とあるのは、網目が綺麗に残っていたためがんでないと断定できた、という意味です。
  • PASD stain(ジアスターゼ抵抗性PAS染色)
    • 「α1-アンチトリプシン欠損症」という遺伝性の代謝疾患(肝硬変の原因になる)の時に、肝細胞内に特異的な塊が染まります。今回は「negative(陰性)」なので、その病気ではないということです。
  • Iron stain(鉄染色)
    • 肝臓に過剰な鉄が沈着する「ヘモクロマトーシス」などの病気がないかを調べます。今回は網内系(クッパー細胞などの掃除細胞)にわずかに見られる程度で、病的な鉄過剰(肝細胞への沈着)はないという結果です。
  • Canalicular cholestasis(毛細胆管性胆汁うっ滞)
    • 肝細胞の間にある微細な胆汁の通り道(毛細胆管)に、胆汁が詰まって澱んでいる状態です。強い炎症のせいで胆汁の流れが一時的に悪くなっている(急性胆汁うっ滞)ことを示します。

肝臓の多発性結節性脂肪浸潤

本症例では超音波と造影CTだけが提示されており、MRIが撮像されたかどうかは不明です。MRIが撮像されていたら、結節に見える部分に脂肪が含まれていることが分かるので、腫瘍ではなく脂肪浸潤と確信を持って診断できたかもしれません。

肝臓の多発性結節性脂肪浸潤(Multifocal nodular fatty infiltration of the Liver)という悪性腫瘍に類似する良性疾患があります。

このような症例では、MRIを追加することで診断の確定と不必要な生検を回避できる可能性があります。

Multifocal Nodular Fatty Infiltration of the Liver: A Rare Benign Disorder That Mimics Metastatic Liver Disease

脂肪肝の原因

脂肪肝の主な原因として、アルコールや肥満、糖尿病、脂質異常症、薬の副作用、手術の後遺症などが挙げられています。アルコールによる脂肪肝を「アルコール性脂肪肝」、飲酒量が少なくても生活習慣病のリスクを抱える人に見つかる脂肪肝を「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」といい、Metabolic dysfunction Associated Steatotic Liver Disease(MASLD)と呼ばれます。MASLDの発症には肥満が強く関係していると言われています。

脂肪肝

しかし近年、いくつかの重金属とMASLDの関係が指摘されています。

Association Between Non-alcoholic Fatty Liver Disease and Heavy Metal Exposure: a Systematic Review

Environmental Exposure to Toxic Metals May Increase Risk of MASLD, Study Finds

Associations of multiple toxic metal exposures with metabolic dysfunction-associated fatty liver disease: NHANES 2011–2018

また、重金属の慢性曝露によりインスリン抵抗性の獲得、肥満、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどを引き起こすことも知られています。

重金属の慢性曝露の経路として、環境や食品汚染、タバコなどが挙げられますが、ワクチンや医薬品、食品添加物もまた重要な曝露源です。

これらの複数の経路から頻回に重金属を摂取することで、気づかないうちに脂肪肝になり、場合によっては肝硬変まで進行するわけです。

以下は、私の個人のブログ記事ですが、消化器疾患治療薬や糖尿病薬、その他様々な薬で薬剤耐性菌が生じることが知られています。薬剤耐性菌は重金属耐性菌と重複していますので、薬剤耐性菌を誘導する薬には、薬剤の成分として、あるいは汚染により重金属が含まれていると考えられます。

腸内細菌叢の乱れと回復

やはり薬剤耐性菌は、重金属耐性菌だった!!

脂肪肝に限らず、薬を飲み続けると重金属の慢性中毒により心血管障害、脳血管障害、代謝性障害、自己免疫性疾患等々、様々な病気を引き起こす可能性が高くなります。

脂肪肝と診断されたら、カロリー制限をする前に、まず「いま自分の体に入れている薬剤や添加物(曝露源)」を徹底的に棚卸しすべきです。

参考記事

At Least 55 Undeclared Chemical Elements Found in COVID-19 Vaccines

【アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の職員による内部告発】インフルエンザワクチンには25mgの水銀、コロナワクチンには25〜30mgの水銀が入っている

モデルナ製コロナワクチンにはイタイイタイ病の原因となった重金属「カドミウム」が含有 脳神経に悪影響を及ぼすアルミニウムも

【中国】河川の重金属汚染により、約250箇所で公害病が発症 イタイイタイ病の原因カドミウムを大量に含む「カドミウム米」が中国で流通 平均寿命45歳の地域も

中国からの輸入食品は年間382万トンに上り、9割が無検査で食卓に 除草剤入りアサリ、大腸菌入り冷凍野菜、カドミウム入り落花生、メラミン入り毒ミルク‥etc

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Case courtesy of Amr El-Talla, Radiopaedia.org. From the case rID: 64951

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