【症例】
70歳男性。意識を失って転倒。
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Case courtesy of Andrew Dixon, Radiopaedia.org. From the case rID: 32383
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画像所見:
左大脳凸面を中心に、大脳鎌および小脳テントに沿って広がる広範な急性硬膜下血腫を認める。これに伴い正中構造は右側へ著明に偏位(midline shift)し、帯状回ヘルニアを呈している。また、左前頭葉や視床の下方への偏位もあり、鞍上槽は狭小化している。
左鉤ヘルニアにより脳幹が圧迫され、橋上部に正中線上のデュレ(Duret)出血を認める。右前頭部および斜台〜橋前部にも微量の硬膜下血腫が認められる。
二次的な変化として、正中偏位による第三脳室の消失、および右側脳室三角部から下角にかけての拡大を認め、閉塞性水頭症の所見を呈している。
症例検討:
左側の広範な急性硬膜下血腫(主として大脳凸面に分布するが、一部は大脳鎌および小脳テントへも進展している)を認め、右側への著明な正中偏位を呈している。左鉤ヘルニアによる脳幹圧迫の結果、橋内には予後不良を示唆するデュレ出血を認める。患者は緩和ケア(対症療法)の方針となった。

- デュレ出血

- 左急性硬膜下血腫
- 右側脳室下角の拡大
- デュレ出血

- 左急性硬膜下血腫
- 左前頭葉の下垂
- 左鉤ヘルニア
- 右側脳室下角の拡大
赤矢印は左側脳室下角の一部

- 左急性硬膜下血腫
- 帯状回ヘルニア
- 鉤ヘルニア(矢印は側脳室下角)

- 急性硬膜下血腫による左前頭葉の正中偏位・下垂
デュレ出血(Duret hemorrhage)
デュレ出血は、中脳または橋に発生する、通常は複数箇所に及ぶ小さな出血であり、急速に進行する脳ヘルニア、特に中心性ヘルニアによって引き起こされます。一般的に予後は不良です。
臨床症状:
デュレ出血の臨床症状は、デュレ出血の原因となる頭蓋内病変(大きな出血など)による症状があるため、判別が困難です。デュレ出血の患者のほとんどは意識状態が低下しており、回復した患者では局所的な神経学的後遺症が残ります。
病理学:
テント上圧の上昇により、脳幹と内側側頭葉が下方へ押し下げられ、脳底動脈の穿通枝や排出静脈が損傷を受け、実質内出血が起こると考えられています。最も一般的には、死亡の12〜24時間前に重度のヘルニアを起こした患者に見られます。
病因:
- 硬膜外出血
- 硬膜下出血
- 脳内出血
- 外傷性脳損傷
- 脳腫瘍
- 低ナトリウム血症
- 急性びまん性脳浮腫
- 血栓溶解薬投与後(稀に)
画像所見:
中脳または橋の正中線上の橋中脳接合部付近に位置する、単一の小さく丸い出血。複数見られることも、小脳脚に及ぶこともあります。
予後:
ほとんどの場合、致命的と考えられています。まれに良好な結果が報告されているケースもあります。
参考:
Duret hemorrhage, Radiopaedia.org, https://doi.org/10.53347/rID-7898
ライセンス: CC BY-NC-SA 3.0


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