症例:5〜10歳 女性。1ヶ月前から腹痛があり、急激に悪化した。乳酸値の上昇が認められる。
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画像所見
下行結腸の背側、左前腎傍腔に小腸ループが存在しています。この小腸ループはヘルニア嚢内に収まっており、ヘルニア嚢は腹水によって輪郭が浮かび上がっています。腸間膜血管の伸展と変形も認められます。これらの所見は左傍十二指腸ヘルニアと一致します。
さらに、小腸の一部には、壁肥厚と造影効果の低下が見られ、虚血が疑われます。
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青系統の矢印:ヘルニア嚢の輪郭
黄矢印:虚血が疑われる小腸ループ
前腎傍腔
- 後腹膜腔の一部で、後壁側腹膜と前腎筋膜(Gerota筋膜・ゲロータ筋膜)の間に挟まれた解剖学的空間です。
- 内部には膵臓、十二指腸(下行部以降)、上行結腸・下行結腸などの重要な後腹膜臓器が含まれます。
- 急性膵炎などの炎症が波及しやすい経路であり、CT画像診断において液貯留の評価が重要となる部位です。

前腎傍腔の画像診断(anterior pararenal space、急性膵炎、後腹膜) より改変
症例検討
手術時、腸管の位置異常に加え、腸間膜の捻転による静脈閉塞と腸管虚血が認められた。捻転解除後、腸管は生存可能と判断され、切除は行われなかった。また、トライツ靭帯付近に先天性索状物が認められたため、これを切断した。術後の経過は良好であった。
Case courtesy of Ryan Logan Webb, Radiopaedia.org. From the case rID: 52006
今回のCTでは腸間膜の捻転を診断することは難しいです(矢状断があればできるかも)。左傍十二指腸ヘルニアと小腸の虚血を診断して、緊急手術を行うことができれば十分です。
左傍十二指腸ヘルニア
左傍十二指腸ヘルニアは Treitz(トライツ) 靭帯周囲の腹膜窩に腸管が嵌入して生じる内ヘルニアで、小腸は後腹膜腔内に脱出します。
症状については、腹痛や嘔吐が最も多いですが、突如イレウス症状を発症するものから、慢性的な腹部症状を有するもの、無症状のものもあり、多彩です。
傍十二指腸ヘルニア
傍十二指腸ヘルニアは、①ヘルニア門が左側に開口し、ヘルニア囊は左結腸動脈、下腸間膜静脈の背側を通り下行結腸間膜の後面(Landzert 窩)に陥入する左傍十二指腸ヘルニアと、②ヘルニア門が右側に開口し、ヘルニア囊は上腸管膜動静脈の背側を通り上行結腸間膜の後面(Waldeyer 窩)に陥入する右傍十二指腸ヘルニアとに分類されます。発生要因としては、通常胎生 11 週頃に正常の中腸回転が終了し、下行結腸間膜が後腹膜に固定されるが、十二指腸空腸移行部の左側の下腸間膜静脈背側に存在する結合組織の疎な部分に小腸が入り込み、Landzert 窩を生じ、左傍十二指腸ヘルニアのヘルニア囊を形成する説が有力と考えられています。
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Case courtesy of Ryan Logan Webb, Radiopaedia.org. From the case rID: 52006
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