症例:成人女性。腹痛、乳酸値の上昇。
既往:患者は直腸がんの既往があり、化学療法中に好中球減少症を呈していた。
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画像所見
食道と胃、十二指腸球部に壁内ガスを認めます。また、門脈内ガスを認めます。食道及び胃、十二指腸、近位小腸の拡張を認めます。遠位小腸には浮腫性壁肥厚を認めます。横行結腸から下行結腸、S状結腸、直腸に浮腫性壁肥厚を認めます。消化管の虚血・壊死が疑われます。
直腸の腫瘍は同定できません。
左下腹部に人工肛門が造設されています。
S状結腸間膜内、門脈周囲に転移を疑うリンパ節腫大を認めます。
肝S8に転移を疑う低吸収結節を認めます。
腹水を認めます。
両側胸水を認め、背側肺には受動性無気肺を伴っています。
肝臓の造影効果は不均一です。下大静脈の虚脱や腹水、胸水、腸管拡張もあることから、ショック状態による血流低下が原因の可能性があります。また、門脈内ガスによる物理的な血流阻害も可能性として考えられます。
重複下大静脈です。正常偏位です。
両側卵巣嚢胞、子宮筋腫、左腎嚢胞を認めます。
胆嚢水腫(たんのうすいしゅ:胆嚢が拡張している状態)を認めます。
結論
広範な消化管の虚血・壊死。
(このスキャン後、まもなく容態が悪化し亡くなりました。)
画像解説

- 白矢印:食道壁内ガス
- 黄矢印:胃壁内ガス
- 赤矢印:門脈内ガス
- 肝臓の造影効果は不均一
- 胸水、腹水

- 白矢印:食道壁内ガス
- 黄矢印:胃壁内ガス
- 赤矢印:門脈内ガス
- 胸水、腹水

- 白矢印:食道壁内ガス
- 黄矢印:胃壁内ガス
- 赤矢印:門脈内ガス
- 緑矢印:肝転移疑い
- 胸水、腹水

- 黄矢印:胃壁内ガス
- 赤矢印:門脈内ガス
- 腹水
- 胆嚢水腫

- 黄矢印:胃壁内ガス
- 赤矢印:門脈内ガス
- 緑矢印:門脈背側のリンパ節
- 腹水

- 黄矢印:浮腫性壁肥厚のある下行結腸
- 赤矢印:浮腫性壁肥厚のある小腸
- 腹水
- 左下腹部に人工肛門が造設されています。
- 左下腹部に小腸の拡張を認めます。

- 黄矢印:浮腫性壁肥厚のある横行結腸
- 赤矢印:浮腫性壁肥厚のある小腸
- 腹水
- 小腸の拡張

- 赤矢印:浮腫性壁肥厚のある小腸
- 緑矢印:S状結腸間膜内のリンパ節
- 腹水

- 黄矢印:浮腫性壁肥厚のあるS状結腸〜直腸
- 赤矢印:浮腫性壁肥厚のある小腸
- 白矢印:卵巣嚢腫(良性)
- 腹水
Case courtesy of Michael P. Hartung, Radiopaedia.org. From the case rID: 93811
考察
今回の症例は、食道と胃の拡張と壁内気腫が前面に出ており、化学療法そのものによる強力な粘膜毒性や血管障害がトリガーになった可能性が高いです。
好中球減少症を背景にした腸炎も考えられますが、これは盲腸が好発部位なので典型的ではありません。
好中球減少性腸炎
化学療法に伴う好中球減少期に起こる壊死性の腸炎。腹痛を伴う発熱性好中球減少症で疑う。
盲腸が好発部位であり、典型的には右下腹部痛を認めるが、盲腸以外に他の大腸や小腸にも腸炎は起きうる。腹痛、発熱以外の症状として、腹部膨満、下痢、血便を認める。
化学療法誘発性の重症粘膜炎に起因する、消化管の広範な虚血性壊死が強く疑われます。
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Case courtesy of Michael P. Hartung, Radiopaedia.org. From the case rID: 93811
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