【CT】化学療法による広範な消化管壊死

腹部

症例:成人女性。腹痛、乳酸値の上昇。

既往:患者は直腸がんの既往があり、化学療法中に好中球減少症を呈していた。

CT slice
造影CT
WW: 80 / WL: 40
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画像所見

食道と胃、十二指腸球部に壁内ガスを認めます。また、門脈内ガスを認めます。食道及び胃、十二指腸、近位小腸の拡張を認めます。遠位小腸には浮腫性壁肥厚を認めます。横行結腸から下行結腸、S状結腸、直腸に浮腫性壁肥厚を認めます。消化管の虚血・壊死が疑われます。

直腸の腫瘍は同定できません。

左下腹部に人工肛門が造設されています。

S状結腸間膜内、門脈周囲に転移を疑うリンパ節腫大を認めます。

肝S8に転移を疑う低吸収結節を認めます。

腹水を認めます。

両側胸水を認め、背側肺には受動性無気肺を伴っています。

肝臓の造影効果は不均一です。下大静脈の虚脱や腹水、胸水、腸管拡張もあることから、ショック状態による血流低下が原因の可能性があります。また、門脈内ガスによる物理的な血流阻害も可能性として考えられます。

重複下大静脈です。正常偏位です。

両側卵巣嚢胞、子宮筋腫、左腎嚢胞を認めます。

胆嚢水腫(たんのうすいしゅ:胆嚢が拡張している状態)を認めます。

結論

広範な消化管の虚血・壊死。

(このスキャン後、まもなく容態が悪化し亡くなりました。)

画像解説

  • 白矢印:食道壁内ガス
  • 黄矢印:胃壁内ガス
  • 赤矢印:門脈内ガス
  • 肝臓の造影効果は不均一
  • 胸水、腹水
  • 白矢印:食道壁内ガス
  • 黄矢印:胃壁内ガス
  • 赤矢印:門脈内ガス
  • 胸水、腹水
  • 白矢印:食道壁内ガス
  • 黄矢印:胃壁内ガス
  • 赤矢印:門脈内ガス
  • 緑矢印:肝転移疑い
  • 胸水、腹水

  • 黄矢印:胃壁内ガス
  • 赤矢印:門脈内ガス
  • 腹水
  • 胆嚢水腫
  • 黄矢印:胃壁内ガス
  • 赤矢印:門脈内ガス
  • 緑矢印:門脈背側のリンパ節
  • 腹水
  • 黄矢印:浮腫性壁肥厚のある下行結腸
  • 赤矢印:浮腫性壁肥厚のある小腸
  • 腹水
  • 左下腹部に人工肛門が造設されています。
  • 左下腹部に小腸の拡張を認めます。
  • 黄矢印:浮腫性壁肥厚のある横行結腸
  • 赤矢印:浮腫性壁肥厚のある小腸
  • 腹水
  • 小腸の拡張
  • 赤矢印:浮腫性壁肥厚のある小腸
  • 緑矢印:S状結腸間膜内のリンパ節
  • 腹水

  • 黄矢印:浮腫性壁肥厚のあるS状結腸〜直腸
  • 赤矢印:浮腫性壁肥厚のある小腸
  • 白矢印:卵巣嚢腫(良性)
  • 腹水

Case courtesy of Michael P. Hartung, Radiopaedia.org. From the case rID: 93811


考察

今回の症例は、食道と胃の拡張と壁内気腫が前面に出ており、化学療法そのものによる強力な粘膜毒性や血管障害がトリガーになった可能性が高いです。

好中球減少症を背景にした腸炎も考えられますが、これは盲腸が好発部位なので典型的ではありません。

好中球減少性腸炎

化学療法に伴う好中球減少期に起こる壊死性の腸炎。腹痛を伴う発熱性好中球減少症で疑う。

盲腸が好発部位であり、典型的には右下腹部痛を認めるが、盲腸以外に他の大腸や小腸にも腸炎は起きうる。腹痛、発熱以外の症状として、腹部膨満、下痢、血便を認める。

好中球減少性腸炎

化学療法誘発性の重症粘膜炎に起因する、消化管の広範な虚血性壊死が強く疑われます。


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Case courtesy of Michael P. Hartung, Radiopaedia.org. From the case rID: 93811

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